絵本と暮らす
■絵本・童話本の教育的効果
某大学の授業や教員研修では絵本の読み聞かせを多く取り入れているそうです。 誰しも最初からうまくできものではなく、場数を踏むに従って自然な読み聞かせができるようになるそうです。この場合子供 に向けた読み聞かせではなく、大人を対象にしています。この事によって絵本の世界を提供し追体験してもらうことで、自分 の望ましさに気付いたりこれまでの人生に自信や誇りを感じ取ったり、未来に向かって希望や勇気を確信する機会にしてもら い、自分の肯定的人生観の再認識体験、感情体験をすることが目的ということです。絵本というと子供のものという感覚で見 てしまいがちですが、私たちにも癒しだけでなく教育的効果が見いだせそうです。
大人が子供と共に生きる時、大切なのは一人一人の「善さ」です。大人社会が子ども達 に反面教師としての姿ばかり見せるのではなく 生きる素晴らしさやよりよく生きることの意味を語りかける「善さ」を通した生き方 の発揮です。今の自分の生き方はどうなのか、 これからの自分はどうあるべきか、このような生き方は人間固有の自然な欲求のようです。 社会が複雑化、拡大化、間接化してくると自ら 立脚すべき位置を見失うようなこともあります。私達が自らの人格形成の原点とも言うべき子ども時代に立ち返り、理想に照らして今の自分 が抱える一つ一つの課題を絵本作品という象徴世界に自らを投影することによって 明らかにして、相互に反響し合って望ましさの実現を願う ところに大きな意味があるということです。(少々長くなってしまいました・・・。)
■絵本の読み聞かせ
子供の頃、絵本を読んでもらった経験をお持ちの方は多いのでは無いでしょうか?絵本の読み聞かせは お子様との大切なコミュニケーション手法です。お子様にとっては語彙を吸収して、想像力や知的好奇心を育むのにとても良い機会です。 これによりお子様の情緒が安定し、自己表現意欲を引き出すことができるそうです。親子のこういった機会がお子様に基本的な生活習慣を 身につける教育にもなります。良質の絵本をお子様のペースに合わせ、愛情を持って読み聞かせてはいかがでしょうか。
お子様へ絵本や童話本を読み聞かせていらっしゃるママ・パパはどのようになさっているのでしょうか? 読み聞かせのコツがあれば体得して おきたいものです。まず1つ目は本の大きさがお子様に適当で、絵がはっきりとしたものでお子様の発達状況に合っているもの。2つ目に読み方は ゆっくりと本の登場人物になりきって感情豊かに語っていく。紙芝居効果が出れば占めたもの。 3つ目は3歳未満のお子様でしたらだっこをしながら または同じ向きでお子様に寄り添い、本を横にしてスキンシップ豊かにする。4~5歳で あれば体から本を離して持たせ、本に集中させてお子様の 創造性を育む。といったことでしょうか。
絵本の読み聞かせについてちょっと具体的なお話です。お子様の年齢に合わせた絵本の読み聞かせ方は 変わってきます。 1歳児であれば、 簡単な言葉を覚え始める時期ですので、絵本を通じで一緒に楽しみ、遊ぶことにして良いと思います。絵本は身近なものがはっきりと分かる大きな絵が 描かれているものが適切です。2~3歳児では大切な生活習慣を身につける時期です。生活習慣に関する絵本でどんどんお子様に話しかけてはどうでしょうか。 そして「これができるね!」と褒めてあげることも お忘れなく。好奇心大盛な時期です、邪見にせずゆっくりと気持ち を込めて読み聞かせましょう。 4~5歳児では物語のストーリーが理解できるようになります。お子様は絵本の主人公に成りきって聞いてくれるでしょう。 感情・情緒豊かで想像力を 育むチャンスです。日毎で続き物語を読み聞かせられる絵本などを選ばれてはいかがでしょうか。
■【復刻 世界の絵本館-オズボーン・コレクション-】とは
偶然にも、ほるぷ出版の【復刻 オズボーン・コレクション】の絵本たちと出会い、一部を入手することが出来ました。 こういった出会いは心がざわめき立つ思いです。 実はオズボーン・コレクションの復刻版があることは知っていましたが、 オズボーン・コレクション自体についてはほとんど無知の状態(書籍商としてはお恥ずかしいところです)でしたので、 勉強の意味でまとめました。■オズボーン・コレクションとは
1934年イギリスのダービシャー州立図書館長オドガー・オズボーン氏はトロント公共図書館児童部門の「少年少女の家」を訪れました。 その際、リリアン・H・スミス女史の指導による活動に深い感銘を受け、後に自分の貴重な児童古書を寄贈しました。コレクションの内容は、 イギリスを中心にした世界の絵本や児童文学で、15世紀後半から20世紀初頭のものまで1万5千点以上となります。 そして内容も充実し世界的にも名高い児童文学コレクションとなりました。
■ 復刻 世界の絵本館-オズボーン・コレクション-
1979年(昭和54年)、この年は「国際児童年」であると同時に日本・カナダの修好50周年でした。ほるぷ出版では記念出版として、 カナダにあるトロント公共図書館の児童部センター「少年少女の家」所蔵のオズボーン・コレクションから何冊かを選び出して、 日本の人々に「復刻 世界の絵本館 オズボーン・コレクション」を届けたいという企画が生まれました。 そしてオズボーン氏がなくなる寸前に、トロント公共図書館と契約内容の合意に達することができて、オズボーン・コレクション室の 次長マーガレット・マローニーさんが復刻の候補として50冊の本を選び来日します。貴重であるため郵送ではなく、 マローニーさん自らが運んで来られました。このイギリスの18世紀から19世紀末までの古典的絵本34冊が選ばれ 「復刻 世界の絵本館 オスボーン・コレクション」の出版となりました。1979年の刊行時の価格は「全34点+付録1組+解説・絵本ガイド」 という内容で89,200円。また1980年代に 増刷も行われました。
■復刻 世界の絵本館-オズボーン・コレクション- 34冊とは
1世界図絵 Orbis Sensualium Pictusヨハン・アモス・コメニウス作 ロンドン 1777
2靴ふたつさん Goody Two-Shoesジョン・ニューベリ出版 (1766年版の複刻)ロンドン 1881
3新年の贈り物 A New Years Giftトマス・ビュイック画 ニューカッスル 1777
4誕生日の贈り物 The Birth-day Giftエリザベス・アプトン作 ロンドン 1796
5コック・ロビンの死と埋葬 The Death and Burial of Cock Robinウィリアム・ダートン出版 ロンドン 1806
6トロットおばあさんとこっけい猫君の奇妙な冒険 The Moving Adventures of Old Dame Trot and her Comical Catウィリアム・ダートン出版 ロンドン 1806
7ちょうちょうの舞踏会とバッタの宴会 The Butterfly's Ball and Grasshopper's Feastウィリアム・ロスコー作 ウィリアム・マルレディ画 ロンドン 1807
8くじゃく家の祝宴 The Peacock “at Homeドーセット夫人作 ロンドン 1807
9幸福の館 The Mansion of BlissT・ニュートン作 ロンドン 1810
10 ダイヤモンドとひきがえる Diamonds and ToadsT・Brandard バーミンガム 1810
11 聖書のお話 Scripture HistoriesF・ホールストン ウエリントン 1825
12 ジャックとジルとギルおくさん Jack and Jill, and Old Dame GillJ・G・ラッシャー バンベリ 1830
13 市場めぐり A Visit to the Bazaarジョン・ハリス出版 1818
14 大洋に棲む動物たち The Ocean and its Inhabitantsダートン&クラーク刊 1844
15 伝説おとぎ話集 The Traditional Faery Talesフェリックス・マサリー 18455
16 サウザンプトンのビーヴィスの冒険The Gallant History of Bevis of Southampton ウィリアム・ジョン・トムズ 1845
17 美わしの乙女ロザモンドの死への哀歌A Mournful Ditty of the Death of Fair Rosamond ウィリアム・ジョン・トムズ 1845
18 18 耐娘グリセルのゆかしい物語The Sweet and Pleasant History of Patient Grissel ウィリアム・ジョン・トムズ 1845
19 親指太郎と七リーグぐつ Hop-O'-My-Thumb and the Seven-League Boots ジョージ・クルクシャンク 1853
20 ばあやが聞かせるわらべうた Old Nurses Book of Rhymes, Jingles and Ditties チャールズ・H・ベネット編・画
21 ニュー・ピクチャー・ブック The New Picture Book ニコラス・ボーニー解説 エジンバラ 1858
22 妖精の国 In Fairy Landリチャード・ドイルが、ウィリアム・アリンガム詩 ロンドン 1870
23 犬の晩さん会 The Dog's Dinner Partyジョージ・ラウトリッジ・アンド・サンズ刊 ロンドン、マンチェスター&グラスゴー 1870
24 シング・ソング Sing-Songクリスティナ・G・ロセッティ詩、アーサー・ヒューズ画 ロンドン 1872
25 古いお友だちのアルファベット The Alphabet of Old Friendsウォルター・クレイン画 ロンドン&ニューヨーク 1875
26 長ぐつをはいた猫 Puss in Bootsウォルター・クレイン画 ロンドン&ニューヨーク 1897
27 ナンセンスの本 A Book of Nonsenseエドワード・リア作・画 ロンドン1875
28 窓の下で Under the Windowケイト・グリーナウェイ作・画 ロンドン&ニューヨーク 1878
29 シンデレラ Cinderellaディーン&サン刊 ロンドン 1880
30 ジョン・ギルピンの愉快なお話 The Diverting History of John Gilpin ランドルフ・カルデコット画 ロンドン 1878
31 森の中の子どもたち The Babes in the Woodランドルフ・カルデコット画 ロンドン 1880
32 おとぎの“アリス” The Nursery“Alice”ルイス・キャロル作、ジョン・テニエル画 ロンドン 1889
33 幼な子のイソップ The Baby's Own Aesopウォルター・クレイン画 ロンドン&ニューヨーク 1887
34 二つのオランダ人形の冒険 The Adventures of Two Dutch Dollsフローレンス・K・アプトン画、 バーサ・H・アプトン文 ロンドン&ニューヨーク 1895
(参考資料:群馬県立図書館解説)